「年収が高い業界は、やっぱり忙しいのでは?」と思って、転職先の候補から外していませんか。この記事では、厚生労働省の2025年の統計を使い、年収・残業・離職率の3つを同じ重みで採点した業界ランキングを紹介します。
ここでいう「ホワイト」は、この3つの物差しでの当サイトの定義です。国が発表した順位ではなく、働きやすい会社を保証するものでもありません。業界選びの入口として使ってください。
ランキングの作り方
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」と「雇用動向調査」(どちらも2025年分)から、次の3つを業界ごとに取り出しました。
| 物差し | 使った数字 | 高得点になるのは |
|---|---|---|
| 推計年収 | 一般労働者の現金給与総額(賞与込みの月平均)×12 | 高いほど |
| 月の残業 | 一般労働者の所定外労働時間 | 少ないほど |
| 離職率 | 一般労働者の1年間の離職率 | 低いほど |
3つをそれぞれ、比較した15業界の中で0〜100点にし、3分の1ずつ同じ重みで平均したものが総合点です。鉱業は働く人が少ないため、比較から外しています。
点数は「15業界の中での位置」を表すものです。点数が低い業界に悪い会社が多い、という意味ではありません。
ランキング一覧(15業界)
太字は、15業界の中で一番よい数字です(年収は最も高い、残業と離職率は最も低い)。
| 順位 | 業界 | 推計年収 | 月の残業 | 離職率 | 総合点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 金融業,保険業 | 720万円 | 13.6時間 | 6.3% | 80.7 |
| 2 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 784万円 | 16.9時間 | 8.0% | 76.7 |
| 3 | 複合サービス事業(郵便局・農協など) | 533万円 | 8.3時間 | 7.7% | 70.0 |
| 4 | 学術研究,専門・技術サービス業(士業・コンサル・研究所など) | 684万円 | 14.2時間 | 10.0% | 68.0 |
| 5 | 卸売業,小売業 | 571万円 | 11.3時間 | 8.5% | 66.1 |
| 6 | 教育,学習支援業 | 672万円 | 14.8時間 | 9.8% | 66.1 |
| 7 | 建設業 | 579万円 | 13.5時間 | 7.9% | 64.0 |
| 8 | 情報通信業(IT) | 684万円 | 16.5時間 | 10.0% | 63.6 |
| 9 | 不動産業,物品賃貸業 | 617万円 | 14.5時間 | 10.5% | 60.0 |
| 10 | 製造業 | 568万円 | 14.7時間 | 9.2% | 57.7 |
| 11 | 医療,福祉 | 488万円 | 6.7時間 | 13.6% | 55.8 |
| 12 | 生活関連サービス業,娯楽業 | 452万円 | 10.5時間 | 16.1% | 39.7 |
| 13 | 運輸業,郵便業 | 522万円 | 24.1時間 | 8.1% | 37.8 |
| 14 | サービス業(他に分類されないもの) | 435万円 | 13.0時間 | 20.3% | 24.0 |
| 15 | 宿泊業,飲食サービス業 | 433万円 | 15.6時間 | 21.5% | 16.3 |
5位の卸売業,小売業と6位の教育,学習支援業は、表示上の総合点がどちらも66.1です。順位は元の集計表に従っています。小さな順位の差を重く見すぎないようにしてください。
TOP3の業界を詳しく
1位:金融業,保険業(総合点80.7)
年収の高さに加えて、離職率が15業界で最も低いことが、今回の計算では強みになりました。
ただし、銀行・証券・保険などをまとめた平均です。営業か事務か、どの会社かによって実際の条件は変わります。1位の業界だからといって、自分に合うとは限りません。
2位:電気・ガス・熱供給・水道業(総合点76.7)
推計年収は15業界で最も高い784万円。一方で月の残業は16.9時間で、残業が少ない順のランキングなら上位にはなりません。高い年収と働く時間の両方を見て検討したい人の候補です。
休日の対応や勤務の形など、この3つの数字では測れないこともあります。自分の生活に合うかは、募集要項や面接で確かめましょう。
3位:複合サービス事業(総合点70.0)
郵便局や農協などが入る、少し意外な分類です。年収は上位ではありませんが、残業の少なさと離職率の低さが今回の配点で評価されました。年収だけを見ていると候補に入らなかった業界も、別の物差しで見直せます。
ただし、離職率が低い理由までは、この統計からはわかりません。「職場の雰囲気がよいから」といった原因を決めつけないようにしましょう。
4位〜10位のポイント
- 4位 学術研究,専門・技術サービス業:士業・コンサル・研究所などを含む分類。推計年収は情報通信業と同じ684万円、離職率も同じ10.0%ですが、月の残業が14.2時間と少なめで上位に入りました。この平均から、特定のコンサル会社や研究所の忙しさまでは判断できません。
- 5位 卸売業,小売業:月の残業11.3時間・離職率8.5%。卸売も含む大きなくくりなので、お店の仕事だけの数字ではありません。
- 6位 教育,学習支援業:推計年収672万円は、年収だけで並べると5番目の高さです。
- 7位 建設業:推計年収579万円は情報通信業より低いものの、月の残業13.5時間・離職率7.9%で、総合では情報通信業より上になりました。
- 8位 情報通信業(IT):月の残業16.5時間・離職率10.0%。年収以外の物差しが加わると順位が下がります。くわしくはIT業界地図2026で解説しています。
- 9位 不動産業,物品賃貸業・10位 製造業:推計年収は617万円と568万円、総合点は60.0と57.7でした。
どれも業界全体の平均です。現場ごとの忙しさや、募集されている仕事の条件は、別に確かめてください。
年収だけで並べると順位が変わる
| 年収の順位 | 業界 | 推計年収 | 総合の順位 |
|---|---|---|---|
| 1 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 784万円 | 2位 |
| 2 | 金融業,保険業 | 720万円 | 1位 |
| 3(タイ) | 学術研究,専門・技術サービス業 | 684万円 | 4位 |
| 3(タイ) | 情報通信業 | 684万円 | 8位 |
| 5 | 教育,学習支援業 | 672万円 | 6位 |
情報通信業は、年収では3位タイなのに総合では8位です。何を物差しにするかで順位は変わります。年収をいちばん重視する人は、総合点ではなく元の年収の数字に戻って比べる方が役に立ちます。
なお、同じ684万円の表示でも、丸める前の計算まで同じとは限りません。この記事では集計表の値をそのまま載せています。
残業が少ないだけでは決まらない
医療,福祉は、月の残業が6.7時間で15業界の中で最も少ない業界です。それでも総合は11位でした。推計年収488万円、離職率13.6%という、ほかの物差しが影響しています。
夜勤の有無や仕事の負担感、休みの取りやすさは、残業の数字だけでは測れません。どの業界でも、表にない条件を確かめる必要があります。
数字の読み方の注意
- 対象は「一般労働者」(パート以外の人)で、正社員だけの平均ではありません。毎月勤労統計は事業所規模5人以上の集計です。
- 推計年収は、賞与込みの月平均(現金給与総額)×12で計算した当サイトの概算です。業界全体の平均で、個人の年収や転職時の提示額ではありません。年齢・職種・会社の規模で変わります。
- 有価証券報告書に載っている会社の「平均年間給与」とは、対象も計算方法も違います。
- 離職率には定年退職なども含まれます。辞めた理由や職場への満足度を直接示す数字ではありません。
自分に合う業界の見つけ方
総合点に自分を合わせるのではなく、自分が譲れない条件から表を読み直すのがおすすめです。
| 優先すること | この表で見る数字 | 会社ごとに確かめること |
|---|---|---|
| 収入を重視 | 推計年収 | 求人の給与条件・賞与 |
| 時間を重視 | 月の残業 | 配属先の実態・忙しい時期 |
| 長く続けやすさを重視 | 離職率 | 辞める理由・仕事の内容 |
気になる業界が決まったら、求人を見るときに次の3つを確かめましょう。
- 給与の内訳(固定の給与と賞与の割合)
- 配属先の残業(会社全体の平均と、配属先の実情は分けて聞く)
- 勤務の形(夜勤・休日対応・転勤の有無など)
今回の採点には、資格の取りやすさや、未経験からの入りやすさは入っていません。仕事の内容や応募の条件もあわせて確認してください。
まとめ
- 年収・残業・離職率を同じ重みで見ると、総合の上位は金融業,保険業/電気・ガス・熱供給・水道業/複合サービス事業
- 年収だけの順位とは違う業界が見えてくる(例:情報通信業は年収3位タイ・総合8位)
- 業界の平均は入口。最後は会社・職種・配属先の条件で確かめる
候補の業界が見えてきたら、転職サービスで実際の求人の条件や、自分の経験がどう評価されるかを確かめてみるのも一つの方法です。
出典・注意書き
基準日:2026年10月時点(使った統計はいずれも2025年分)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」第1表・第2表(一般労働者の現金給与総額×12で推計年収を算出、所定外労働時間):https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/25cr/dl/pdf25cr.pdf
- 厚生労働省「令和7年 雇用動向調査」表4-2(一般労働者の離職率):https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/kekka_gaiyo-02.pdf
- 上記の統計から当サイトが作成した業界比較表(総合点は15業界の中で各指標を0〜100点にし、同じ重みで平均。鉱業は対象外)
ご注意
- このランキングは国が発表した順位ではなく、当サイトの計算です。「ホワイト」は年収・残業・離職率の3つによる当サイトの定義で、働きやすい会社を保証するものではありません。
- 数字は業界全体の平均です。同じ業界でも、会社・職種・配属先によって大きく違います。
- 最新の数字は、厚生労働省の公表資料でご確認ください。