「35歳を過ぎたら転職は難しい」「30代で転職すると給料が下がる」。転職を考え始めると、こうした言葉をよく耳にします。でも、それを国の統計で確かめたことはあるでしょうか。

この記事では、総務省の労働力調査(2025年平均)と、厚生労働省の令和7年雇用動向調査(2026年8月公表)を使い、30代の転職にまつわる3つの誤解を一つずつ検証します。

答え:国の統計では、30代の転職が「難しい」「不利」とは言い切れません。2025年に転職した人は25〜34歳が最も多く、30代は転職で賃金が増えた人が減った人を約20ポイント上回っていました。くわしく見ていきます。

30代で転職する人の割合は?(誤解1「30代の転職者は少ない」)

2025年に転職した人の年齢別の棒グラフ。15〜24歳57万人、25〜34歳82万人、35〜44歳55万人、45〜54歳57万人、55〜64歳55万人、65歳以上25万人
2025年に転職した人(労働力調査・年齢別)

労働力調査では、2025年の転職者は330万人でした。年齢別では25〜34歳が82万人で最も多く、35〜44歳も55万人います。25〜44歳を合わせると137万人で、転職者全体のおよそ42%です(当サイト計算)。

年齢転職者(2025年)転職者比率(2025年)転職者比率(2015年)
15〜24歳57万人9.9%11.2%
25〜34歳82万人7.1%7.1%
35〜44歳55万人4.4%4.3%
45〜54歳57万人3.5%3.2%
55〜64歳55万人4.2%3.6%
65歳以上25万人2.7%1.9%

転職者比率(働く人に占める転職者の割合)は年齢とともに下がりますが、35〜44歳でも4.4%、およそ23人に1人が1年のうちに転職しています。10年前の2015年と比べても、30〜40代の割合はほぼ横ばいです。

判定1

  • 30代は20代前半より転職の割合が下がる。ただし人数では最も多い層で、「少ない」とは言えない。

30代の転職で年収アップする人は?(誤解2「給料が下がる」)

雇用動向調査には、転職した人の賃金が前の職場と比べて増えたか・減ったかの集計があります。

年齢増えたうち1割以上変わらない減ったうち1割以上増えた−減った
30〜34歳48.6%32.8%20.8%29.0%19.0%+19.6
35〜39歳43.5%32.8%28.1%23.9%16.1%+19.6
転職した人全体40.8%28.2%25.5%31.0%21.9%+9.8

30代前半も30代後半も、賃金が増えた人が減った人を19.6ポイント上回っています。1割以上増えた人も32.8%と、転職した人全体(28.2%)より高い水準です。

判定2

  • 30代の転職で、給料が下がる人が多いとは言えない。ただし減った人も2〜3割いて、誰でも上がるわけではない。

35歳の壁はある?(誤解3「35歳で一気に不利になる」)

年齢別の賃金が増えた人から減った人を引いた差の棒グラフ。25〜29歳25.9ポイント、30〜34歳19.6ポイント、35〜39歳19.6ポイント、40〜44歳17.5ポイント、45〜49歳11.0ポイント
年齢別:賃金が増えた人−減った人(令和7年雇用動向調査)
年齢増えた減った増えた−減った
20〜24歳55.2%17.5%+37.7
25〜29歳49.8%23.9%+25.9
30〜34歳48.6%29.0%+19.6
35〜39歳43.5%23.9%+19.6
40〜44歳44.9%27.4%+17.5
45〜49歳41.1%30.1%+11.0
50〜54歳29.4%42.0%−12.6
55〜59歳25.5%38.9%−13.4
60〜64歳21.1%54.3%−33.2

35歳を過ぎても、40代後半までは増えた人が減った人を上回り続けます。初めて減った人のほうが多くなるのは50代前半(−12.6ポイント)でした。なお、60〜64歳の男性は、前の職場を辞めた理由の57.8%が「定年・契約期間の満了」です。

判定3

  • 2025年の統計で、給料の増減が入れ替わるのは50代前半。「35歳の壁」は、少なくとも賃金の増減の数字には表れていない。

30代が転職した理由は?(前の職場を辞めた理由)

区分1番目2番目3番目
30〜34歳 男性給料等収入が少なかった 13.4%労働時間・休日等の労働条件 13.0%会社の将来が不安 10.0%
35〜39歳 男性会社の将来が不安 12.7%給料等収入が少なかった 11.2%労働時間・休日等の労働条件 11.1%
30〜34歳 女性給料等収入が少なかった 12.2%職場の人間関係 10.6%労働時間・休日等の労働条件 10.1%
35〜39歳 女性労働時間・休日等の労働条件 13.7%給料等収入が少なかった 8.5%職場の人間関係 8.3%

「その他の個人的理由」「その他の理由(出向等を含む)」を除いた上位です。30代後半の男性では「会社の将来が不安だった」が最も多い理由でした。

転職がうまくいかない人は統計に入らない(この統計の限界)

  • 雇用動向調査は、新しい職場に採用されて在籍している人の調査です。転職活動をして決まらなかった人は入っていません。
  • 労働力調査では、転職を希望する人は1,023万人、実際に転職した人は330万人でした。希望した人のうちどれだけが動けたのかは、この数字からはわかりません。
  • 賃金の増減は割合で、増えた金額・減った金額の平均ではありません。

転職で給料が上がる・下がる割合を、働き方別や年ごとの推移でもっと詳しく知りたい人は、転職で給料は上がる?下がる?国の統計で答える9つのQ&Aもあわせてどうぞ。

30代の転職で確かめたい3つのこと

  1. 今の給料は、同じ職種・年齢の平均と比べてどうか:職種別・年齢別の平均は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で調べられます(当サイトの営業職の年収ランキング、経理・財務・経営企画の年収など)。
  2. 次の職場の給料の決まり方:月給・賞与・昇給の仕組みを分けて確かめる。
  3. 辞める前に、どこまで探しておくか:統計に入るのは決まった人だけ、という点を踏まえて計画する。

これは当サイトの整理です。30代は、英語やAIなど、次の職場で使えるスキルを持っているかで選択肢が変わることもあります。英語力と年収の関係は、姉妹サイトの英会話研究所が英語ができると年収は上がる?公的研究のデータで検証でまとめています。

まとめ

  • 2025年の転職者330万人のうち、25〜34歳が82万人で最多。30代は「転職する人が少ない層」ではない。
  • 30代は賃金が増えた人が減った人より19.6ポイント多い。
  • 統計で見える分かれ目は35歳ではなく50代前半。
  • ただし統計に入るのは「転職できた人」だけ。今の給料と相場を確かめてから動く。

出典・注意書き

基準日:2026年10月時点(労働力調査は2025年平均=2026年2月13日公表、雇用動向調査は令和7年=2025年1〜12月の調査で2026年8月31日公表)

ご注意

  • 雇用動向調査の賃金の増減は、前の職場でも雇われて働いていて、調査時に新しい職場に在籍している転職入職者が対象です(自営業からの転職は含まない)。計には不詳を含みます。
  • 数字は統計上の平均・割合で、個人の転職の結果を示すものではなく、転職で賃金が上がることを保証するものでもありません。
  • 「30代が確かめたい3つのこと」は当サイトの整理です。

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